
「国産牛」と「黒毛和牛」の違い、知っていますか?― お肉選びに役立つ基礎知識
スーパーや通販でお肉を探していると、よく目にするのが「国産黒毛和牛」や「国産牛」という表示。
でも、「国産黒毛和牛」と「国産牛」の違いって知っていますか?
こんにちは、花城一樹です!
実はこの2つ、名前は似ていても中身はまったく別物。
今回は、この違いをわかりやすく解説しながら、どんなときにどちらを選べばよいのかをお伝えします!
■「黒毛和牛」は“血統が証明された和牛”のこと
「黒毛和牛」とは、4種類ある和牛のうちの一つで、日本で最も多く飼育されている品種です。
ほとんどの高級和牛(松阪牛・静岡そだち・しずおか和牛など)はこの「黒毛和種」から生まれています。
黒毛和牛は、厳密な血統管理のもとで育てられており、霜降りの入り方が美しく、やわらかさ・旨み・香りのバランスが非常に高いのが特徴です。
特に「A5ランク」の黒毛和牛は、熟練の肥育農家が愛情をかけて仕上げた最高級とも言えるお肉です。
■「国産牛」は“日本で育てられた牛”の総称
一方、「国産牛」という表記には明確な品種の縛りがありません。
日本国内で3ヶ月以上飼育されていれば、たとえ海外で生まれた牛であっても「国産牛」と名乗ることができます。
基本的に、お店で見る「国産牛」は「交雑種(F1)」という種類の牛で 「黒毛和牛」と「ホルスタイン(よく乳搾りで見る白黒の牛さん)」を掛け合わせ、食用で生まれた"価格帯"も"脂身"もちょうどいい牛肉がほとんどです。
霜降りすぎず、赤身すぎず、家庭の料理にも使いやすいのが魅力です。
つまり、「国産牛という表記=和牛」ではないのです。
■価格差の背景にある“牛の系統”という視点
「黒毛和牛」と「国産牛」の価格差は、育て方だけでなく、“血統(品種)”の違いが大きく影響しています。
黒毛和牛は、日本の和牛4品種のうちのひとつ「黒毛和種」で、厳しい血統管理のもとに育てられています。
肉質のやわらかさ、霜降りの美しさ、脂の甘みなどを追求して改良されてきた品種で、限られた頭数しかいないため希少価値が高く、価格も上がりやすくなります。
一方の「国産牛」は、国内で育てられた牛の総称で、品種に制限はありません。
たとえば、黒毛和種と乳用牛を掛け合わせた「交雑種(F1)」なども含まれます。F1は霜降りは控えめながら赤身の旨みがしっかりあり、コストも抑えられるため、日常使いしやすい価格で流通しています。
黒毛和牛だから良い・国産牛だから劣る、という単純な話ではありません。
大切なのは、それぞれの良さを知り、自分に合った一品を選ぶことです。
■どちらを選ぶべき?目的に合わせて選ぼう
・特別な日やギフトに:
→黒毛和牛のA5等級や銘柄牛がおすすめ。とろける脂の旨みと香りで、記憶に残る食体験に。
・日々の食卓や料理に使いやすいお肉を探すなら:
→交雑種の国産牛などがぴったり。赤身の旨みをしっかり感じられ、炒め物や煮込み料理にも最適です。
■「表示」を見極めて、納得の買い物を
「黒毛和牛」と「国産牛」の違いを知ることで、お肉選びがもっと楽しく、納得できるものになります。
ラベルに「和牛」や「黒毛和牛」と書かれていれば、それは厳しい基準をクリアした選ばれし牛たち。
一方で「国産牛」は、あくまで“育てられた場所”に焦点を当てた広いカテゴリーです。
静岡そだち/しずおか和牛・・・静岡県産黒毛和牛
するが牛/箱根西麓牛・・・静岡県産牛(交雑種)
ちなみに、私たちが取り扱う「静岡県産牛」には、和牛の良さと交雑種ならではのバランスの良い赤身を兼ね備えた牛も多く存在します。
赤身のローストビーフを求めていて、「黒毛和牛ローストビーフ」を購入してしまうと、少し脂が多い・キツいと感じてしまいます。
花城のローストビーフは「赤身のお肉を楽しんでもらう」目的なので、静岡県産牛「するが牛」の赤身肉を使ってローストビーフを作成しています。
だからこそ、どちらが“上”というより、目的に合わせて“正しく選ぶ”ことが大切です。
■最後に
「国産牛」と「黒毛和牛」は、言葉は似ていても中身は別物。
正しい知識を持っていれば、価格の理由にも納得できますし、自信を持って選べるようになります。
これからお肉を選ぶときは、ぜひ"商品名"にも目を向けてみてください。